法条遥さん「リライト」読了。
読後のモヤモヤ感というかなんというか、久々にかなり強烈な本を読みました。
SF小説です、いわゆるタイムパラドックス物ですね。
本の売り文句に魅かれました。
「SF史上最悪のタイムパラドックス」
史上最悪って、そこまでいうとはよほどすごいのだろうと読んでみて、なるほど、これは本当に最悪だわって。
冒頭にいきなり、え?となるパラドックス、矛盾が提示されます。
時系列的には、お話は2002年にスタートします。
主人公は10年前、1992年に事故に巻き込まれます。
その時に、ある事情で10年後の2002年に5秒間だけタイムリープをします。
タイムリープした先でそこにあった携帯電話を入手、5秒後に元の1992年に戻ります。
その携帯電話のおかげで、大切な人を救うことができました。
ということは、その10年後、2002年に過去の自分が携帯電話をきちんと入手できるようにしておかないといけない。
出てくる場所はわかっているのだから、そこに携帯電話を置いておかないといけない。
もし携帯電話を未来に取りにいって、入手できなかったら、事故に巻き込まれた人を助けることができない。
つまり、何が何でも、過去から来る自分に携帯電話を確保してもらわないといけないわけです。
主人公は、大切にとっておいた携帯電話を、決められた時間、決められた場所に置いておきます。
そして過去の自分が携帯電話を回収するのを待つ。
しばらくして、携帯電話の様子を見に行くと、携帯電話は置かれたままで無くなっていない。
その後も、いくら待っても過去の自分は来ることはなく、携帯電話も置かれたまま。
今の自分があるのは、過去の自分が未来から携帯電話を入手したことが大前提です。
なのに、どうして過去から自分が来ないのか?
これが、お話のメインテーマです。
お話が進むにつれ、少しずつ少しずつ、違和感が増していきます。
読んでいて、え?え?となっていき、最後の最後で全ての謎がまるっと解けます。
解けるは解けるのですが・・・うーん、すっごいもやもやする。
巻末の「解説」で、この本をこんな風に表現されていました。
「秀作というにはあまりにも歪、傑作というにはあまりにも邪」
まさにこんな読後感、特に邪は全面同意です。
これからゴールデンウィーク、割と薄い文庫本ですし、おすすめです。


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